妊娠性歯肉炎
妊娠期間中に、女性ホルモンの増加やつわりなどの影響により歯ぐきが炎症を起こした状態をさします。
妊婦の約半数にみられ、歯ぐきが腫れたり、出血しやすいなどの症状が現れます。傾向として、妊娠期2~3ヶ月頃より発症し、6ヶ月ごろに最も多くみられるといった報告があります。
原因
歯周病菌の繁殖
妊娠中は女性ホルモンが増加します。一部の歯周病菌は女性ホルモンをエサとして増殖するため、妊娠中は歯周病のリスクが高まります。
生活習慣の変化
妊娠中はつわりや体調不良のほか、食習慣・唾液の量の変化によって、口の中の細菌が増殖しやすくなります。
- つわりで歯磨きが十分にできない。
- 間食の回数が増える。1回の食事量が減る。
- 女性ホルモンの変調で唾液量が減り、口の中を洗い流しにくくなる。
予防、治療
妊娠中は口の中の細菌が繁殖しやすく、虫歯や歯周病、口臭などが起こりやすくなります。妊娠中は特に歯磨きを気をつけたいところですが、体調がすぐれない時もあり、食事のたびに歯磨きができないことがあります。
そんな時は水でうがいをしたり、ガムを噛んで唾液を出す|体調の良いときに歯磨きをするのもおすすめです。
また妊娠前や妊娠中の安定した時期に、定期健診や歯のクリーニングを行うのも大切です。
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(参考文献)
・「妊婦の口腔内健康状態とPrevotella intermedia の妊娠への影響」秋田大学医学部保健学科紀要14(2):17-28,2006
•今川与曹: 妊娠並びに産褥と口腔変化について, 第1報, 口病誌,
10: 550,1936.
•西条正雄: 妊娠性歯肉炎に関する臨床的研究, 大日歯医会誌,41: 150, 1943. -8)
高橋庄二郎: 妊娠性肥大性歯肉炎の1例, 歯界展望, 6: 587, 1949.
•久保田裕一: 妊娠性歯肉炎の観察,臨床婦人科 産科, 7(3).